【連載】大人の家庭教師 数学編 第1回:確率の話し(前編)
■大人のための数学
家庭教師「どうもはじめまして。わたしが大人の家庭教師です。これからこの連載では、対話形式で大人のための数学のお話しをしていきたいと思っています。」
大人「先生はじめまして。よろしくお願いいたします。わたしは普段は数学とは無縁の生活をしています。暗算でできそうな簡単な計算も、電卓をおもわず使ってしまうくらいです。学生時代も数学は好きではありませんでした。こんなわたしでも理解できる話しでしょうか?」
家庭教師「大丈夫です。この連載でお話しする数学は、複雑な公式や法則を知らなくても理解できますよ。」
大人「そうですか。それなら安心です!」
■日常生活の中の確率
家庭教師「今日は確率の話しをしたいと思います。確率というとどんなイメージを持っていますか?」
大人「そうですね。はるか昔、数学の授業で学んだ記憶があります。」
家庭教師「なるほど。数学の授業以来、何年も学んでいない人でも、じつはわたしたちは日常生活において、無意識のうちに確率を計算し、あらゆる選択をしていることがあります。」 大人「そういう自覚はまったくもってありませんけど…。」
家庭教師「例えば、駅までバスで移動した方が早いか、タクシーで行った方が早いかを判断しなくてはいけないときがあったとします。自分が今いる場所、時間帯などの条件のもとに、バスが1時間に何本ほど出ているか、バスが時刻表通りに来る確率はどれくらいか、タクシーが拾える確率はどれくらいか、瞬時に計算して、確率が高いと思った方を選択しているはずです。」
大人「ああ、それくらいならしているかもしれません。それも確率なのですね。」
■中身の分からない3つの箱
家庭教師「そうです。では、あなたはいま、テレビのクイズ番組に出演しているとします。あなたはクイズに見事正解し、豪華賞品をもらえるゲームに挑戦することになりました。そしてあなたの元に、中身の分からない3つの箱が並べられてきました。箱にはそれぞれA・B・Cと書かれています。この箱のひとつにだけ賞金10万円が入っています。他の二つはハズレで何も入っていません。あなたは3つの箱のうち、どれを選びますか?」
大人「うーん。血液型がAなので、Aにします!」
家庭教師「Aに当たりが入っている確率はいくつですか?」
大人「数学が苦手な自分でも、それくらいならわかりますよ。3つの箱のうちのひとつを選んだんですから3分の1に決まってます。」
家庭教師「3分の1ですか。わかりました。ここで司会者はBの箱をオープンします。その結果、Bの箱は空であることがわかりました。」
大人「お、それでAかCになったということですね。Aに入っている確率が上がったことになりますね!」
■Aに入っている確率とCに入っている確率は本当に同じか
家庭教師「確率が上がったのはなぜですか?」
大人「はじめは3分の1でしたよね。それがBが空であることがわかった。だから、2分の1になったということです。」
家庭教師「Cの箱に当たりが入っている確率も50%ですか?」
大人「もちろん50%です。AかCかの二者択一になったんですから!」
家庭教師「うーん。本当にそうでしょうか??」
大人「何を言っているんですか? 先生??」

【連載】大人の家庭教師 数学編 目次


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