数学は定義と論理の世界であることを、簡単に説明してきました。厳密に論理的であれば、独自の世界を作ることができるのも数学の魅力なのかもしれません。
ここまで、代数に関するお話をしてきました。人にとって身近な10進数に基づいた代数もあれば、コンピュータが考えやすい2進数の代数もあります。
今回は、それとは違った定義による代数を紹介したいと思います。
通称、「マックス・プラス代数」というのですが、基本的に2つの演算子を使います。 と が、この代数において重要な記号なのですが、ルールは次のようになります。
まず、 というのは、aとbを比べて、大きい方を答えとして返します。例えば、 になります。
もう一つの記号は、単純に2つの数字を足し合わせます。つまり、 になります。
やってみるとわかりますが、この代数も交換法則や結合法則が成り立ちます。一方で、特殊な演算のため、 や という数字も使います。 は、一番小さな数として扱われます。
このマックス・プラス代数のべき乗は、 と表現され、 となります。
なんか不思議な感覚になる世界ですが、いったい何の役に立つのでしょうか?そういうことを言うと、ファラデーに皮肉っぽく「新生児が何の役に立つのか!」といわれそうですが。。。
現在の応用では、列車の駅に到着する時間と経路に関する最適化問題に使われています。どのように設計すれば、無駄な時間が省けるかという問題です。(ほかの分野にも研究されています)
代数を通じて数学の世界を作るということを簡単に説明してきましたが、他の条件を設定したりして、他の世界も構築できる、というのが数学の醍醐味なのでしょう。