バットにボールが当たった感覚がないのに、ホームランになっちゃった

3.9kviews {views}

野球において、バットでボールを打つ物理学は、運動量、力積、角運動量、など、いろいろなものが合わさった運動です。

今回は、バットの重心とスウィート・スポットに関してお話ししたいと思います。

野球経験者ならばよくわかると思いますが、たまに、ボールがバットに当たった瞬間の感覚が手に伝わらないのに、ボールが遠くに飛んでいくことがあります。

これは、ボールがバットの、いわゆる、スィート・スポット(衝撃中心)に当たったからなのです。

他にも重心というスポット(点)があります。これは、重力がかかる点で、簡単に言えば、1点でつるした時に、釣り合う点のことです。

バットではなく、ものさしのような形状ならば、一様な形と密度なので、ちょうど真ん中の点が重心にあたります。

バットの場合は、グリップのあたりが細く、そこから少しづつ太くなっていくので、重心の位置は真ん中からずれています。

図を見てみましょう。バットの重心をGとします。左の絵のようにボールがバットの先に当たれば、重心が後ろの方向に力がかかり、その反動でグリップが前の方向に行きます。この場合、手元に衝撃が来て、よくしびれたりしますね。

では、重心にボールが当たるとどうなるでしょうか。先ほど言いましたが、重心はバット全体の「中心」にあたるので、バット全体が均等に後ろの方向に動きます。これが、いわゆる、「つまる」という感覚なのかもしれません。

では、スィート・スポットとはどこにあるのでしょうか。これは、バットを振る回転運動とボールの衝突が起こる際、グリップが動かない点が、その点にあたります。

探し方は、バットをグリップを中心とした、振り子に見立てます。

その時の周期、つまり、バットが行って、戻ってくるまでの時間を測ります。

振り子の周期は、基本的に長さと重力加速度だけに依存します。重力加速度は、大体 9.8\mathrm{m/s^2} ですから、周期が分かれば、長さ L を求めることができます。

つまり、グリップから L の長さの点がスィート・スポット(衝撃中心)になるのが予測されます。

実際は、もう少し複雑な考慮もしないといけませんが、衝撃中心と重心は必ずしも同じではないということでした。

大人のための家庭教師

参考文献
大人のための「数学・物理」再入門 吉田武 著

この記事が気に入ったら
いいね ! して下さい!!

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です