こんにちは。物理学といえば、もっぱら、ニュートンの力学やアインシュタインの相対論ですが、今回は、あまり表に出てこない「統計力学」のお話をしたいと思います。
統計と言えば、多くのデータから、平均やばらつきを求め、全体の傾向を求めるための手法です。
力学は、方程式があって、初期値を与えると未来の運動は決定される、というものです。
さて、この二つが相容れるのでしょうか?
確かに、1つや2つの物体の運動は、簡単ですし、想定外の力が働かなければ、ほぼ確実に予測可能です。しかし、もっと多くの物体が集合的に運動していたらどうなるでしょうか。
もちろん、それでも、ひとつひとつの物体の方程式が立てられます。つまり、連立方程式を解くことになります。(厳密に言えば連立微分方程式ですが)
しかし、精密に連立方程式を解くには、方程式の数だけパラメータが必要になります。中学・高校で習ったのを覚えているでしょうか。2つ未知数を解くとすれば、2つ方程式が必要になると同じことです。
ただ、多粒子が複雑に絡み合う運動のすべてのパラメータを書き出すのは不可能です。
そこで、粒子一つ一つを記述するよりは、粒子全体の動向を調べる方が、全体の力学的な性質を理解できるということで、統計的手法を使うというのが、統計力学です。
注意しなければいけないのは、統計力学は全体の運動を記述するというのではなく、ひとつひとつの粒子の運動が全体の物理的性質にどのように影響するか、という見方です。
例えば、液体や空気の運動は、流体力学で議論しますが、空気の分子の運動から導く、巨視的な物理量を議論するには統計力学になります。
統計物理的な手法は、運動の物理的性質を分類したり、解析したりするので、ひじょうに広範に使われるものなので、一度、勉強してみるのも良いのではと思います。