物理学とは『考えてきた証』だった…と気づく自分

大人のための家庭教師
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昔々、いや、それほど昔ではない現代社会のある所に、大学教授を引退した、「師匠」と、彼を慕って来る、秋山くんとの、ある会話です。

秋山「東大物理学者が教える『考える力』の鍛え方、という本を読んだのですが、とても面白かったです。問題を見つける力、それを解く力、諦めない人間力、なんか、僕も、考えるっていう事をしてこなかったのを実感しました。」
師匠「わしも本屋で見かけた。結構、人気のあるような本だし、著者の人も教えるのが上手そうな印象だったな。」
秋山「それと、物理って物理学者だけの物じゃない感、というのも学べましたね。」
師匠「うむ、わしの専門も物理だけに、そう言ってもらえるとうれしい。実際、その本で言われている、『考える力』と物理は表裏一体なんじゃ。物理をするというのは、常に今までの原則と今までにない原則の中で、実験結果を含めて、あらゆることを考えなければいけない。」
秋山「そうなんですね。僕が驚いたのは、『問題を見つける力』という点です。実際、教育の現場では、問題は与えられるものだし、それを先生に受け入れられるように答えるだけでいい。逆に、問題を見つけると、『なんで余計なことをするんだ!』って怒られますよね(笑)」
師匠「そうじゃな。(笑)問題を与えて、それを正確に素早く解くのは、効率は良いが、環境が変わると、今までのことが全く役に立たなくなってしまう。そこで、問題を発見したり、それを解決するには、考えるクセ、というか訓練を受けていないとなかなかできないかもしれん。逆に言えば、与えられた問題を正確に素早く解くというのは、それほど頭を使っていない、ということじゃ。」
秋山「頭を使うで思い出しましたが、毎日忙しく働いていた30代の男性が、急に物忘れが激しくなって、病院で若年性認知症と診断されたらしいです。実際、忙しいからといっても、毎日同じことをやってたり、うまく切り替えができないと、脳を使ってないことになるようです。」
師匠「人にもよるが、物理学をする、というのには、緩急がある。つねに問題を頭の片隅に置きながら、色々なことをしたり、コーヒーを飲みながら、学生や同僚と話をしたりしながら、アイデアが浮かぶ、浮かんだら、とことん行き詰るまで計算したり実験したりする。」
秋山「これって、どんな仕事でも応用できますよね。実は、暇そうに時間を潰しているように見えて、つねに考えている。で、きっかけが見つかれば、仕事を加速する、という方が実際、仕事の効率がいいこともあります。」
師匠「ま、暇そうにしている者にとっては良い言い訳になるが。(笑)」
秋山「たしかに。でも、本当に暇な人は『暇だー!』って言いますよね。」
師匠「とにかく、『考えることは大事』というが、なぜそうなのか、どうやってそうするか、と言える人は少ない。しかし、物理学を経験している人から、物理学者がどうやって問題を解決して来たかの歴史や事実を知るだけで、リアルに『考えること』を感じることができるはずじゃ。」
秋山「『考えてきた証』が物理学なんですね。。。」

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