やっぱり高校物理は、退屈で面白くない

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昔々、いや、それほど昔ではない現代社会のある所に、大学教授を引退した、「師匠」と、彼を慕って来る、秋山くんとの、ある会話です。

師匠「今日、書店に行って高校の物理の参考書を久々に見たんじゃが、面白みが全然ないな…」
秋山「『物理の○○』とかいう参考書は、わかりやすいって有名ですよ。」
師匠「それじゃ、わしが手に取ってみたのは。確かに、悪くはない。見た目もキレイじゃし、絵や図も多かった。しかしじゃ。。。」
秋山「しかし、…どうしたんですか?」
師匠「所詮、そこまでなんじゃ。ただ、問題の解き方をきれいに分かりやすくしているだけなんじゃ。」
秋山「それがいいんじゃないですか?高校生は、それを求めていると思うんですが。」
師匠「君の前に初めて食べる果物が出されたとしよう。食べたら、甘くおいしいと感じたとする。君は、それが最高の味だと思うじゃろ。」
秋山「そうですね。初めてですから。」
師匠「しかし、もっとうまい状態の物を食べた人にとっては、君が食べたのは、普通の味に感じるかもしれん。つまりじゃ、本当の物理を知っている者にとって、わたされた問題を、こうやって解けば良い点が取れる、というのは、退屈なものに感じてしまう。」
秋山「じゃあ、本当の物理って何ですか?」
師匠「それは、人類が自然を前にどうやってそれを定式化するかの歴史を観賞し、自分もやってみること、それが、本当の物理じゃ。」
秋山「もう少しくわしく教えてくれますか?」
師匠「高校の教科書に載っている問題の中には、当時ノーベル賞の研究結果もある。しかし、謎が解けるまでは、誰にもどうなっているかわからないのじゃ。」
秋山「それは、当たり前じゃないですか?」
師匠「当たり前なんだが、もう少し聞いてくれ。模範解答がないものを解くためには、あらゆる理論や実験方法を考えなければならない。また、理論が原理原則に合うのか、新しい仮説が必要なのか、しかも、他の問題もその理論で解くことができるのか。全体の理論の中で一貫性があるのか。数学的に解くことができるのか、など多くの試行錯誤が必要なのじゃ。」
秋山「でも、高校生にそれをやれというんですか?」
師匠「そのまま、生徒に対して自由にやれと言ってもできんじゃろ。ただ、そういうように教えることはできる。科学の発展において、その背後の哲学的な部分は、探求への動機につながるのじゃ。」
秋山「今度、師匠にその辺の物理を教えてもらえれば、ありがたいです。やっぱり、教育って単なる作業ではないんですね。何を知って、どう考えていくか、それを人にさせるという、本当に知的な職人にならないといけないようですね。」

大人のための家庭教師

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