以前、高校生までの教育は子供用だとお話ししましたが、ここでは、なぜ子供への教え方を区別しなければならないかをお話しします。
学び始めは誰もが子供のようなものなので、それ自体が問題ではなく、学ぶ側の心理状態を考慮することによって学習効率を上げられるかどうかが重要な点です。
学び始めは不安だらけですが、特に子供は心理的にそれをコントロールできない場合が多いです。神経質にもなりやすいですし、感情的に過剰反応してしまうこともあります。
ですから、教える内容を制限したり、人為的に段階的な過程を作って学ばせる環境を作るのです。テストなどの採点は、その段階の教育に関する評価基準でしかありません。
これは、技術的なことなので、大人の初学者にも使うことができます。
ただ、一方で、子供用の学習だけが学習のすべてだと信じきってしまっている人たちがいて、それが問題をはらんでいる場合が多いような気がします。
以前申し上げましたが、答えのある問題をいかに早く正確に解けることが素晴らしいという価値観に染まっている人たちのことです。
これでは、概念的に新しいことについていけないとか、世に起きている変化に対応できないどころか、逆に世の中に問題を起こしかねないようなことをしてしまいます。
「やったのか、やっていないのか」とか叫んだり、「お前がやったんだろう」と不確かな証拠をもとに、人を責めたり、あやしいというだけで、人や物ごとを断罪したりしている人たちは、子供的な学習から卒業できていないのです。
現在の教育が面している問題は、この子供用と大人用の学習の使い分けができていない所だと思います。
ここがわかれば、教育結果がうまく社会的に機能しますし、多くの問題が解決していくことになります。