物理学の役割を少し違った視点から見てみるとその使命感がわかる!

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昔々、いや、それほど昔ではない現代社会のある所に、大学教授を引退した、「師匠」と、彼を慕って来る、秋山くんとの、ある会話です。

秋山「よく物理学ってどんな学問なのって聞かれるんですが、『自然を理解する科学で機械やロケットなどに応用されている』なんて答えてるんですが、師匠ならどう答えますか?」
師匠「それはそれで正しいのだが、感情に訴えていないかもしれんな。」
秋山「そうなんですよ。物理とエンジニアリングの区別もないように理解されますしね。」
師匠「特に日本では数学・物理・工学の間の壁が低いかもしれんな。これはこれで協力しやすくていいんだが、科学としての物理を理解するかしないかで、学問的な意義が見失われる可能性もある。」
秋山「科学的な見方ですね。」
師匠「うむ。今回は、前に行ったことを、あまり繰り返さずに、違った視点から物理を語ってみようと思う。」
秋山「楽しみです。」
師匠「ファラデーは知っとるな。」
秋山「電磁気の法則を発見した人ですよね。」
師匠「そうじゃ。彼が、『あなたの仕事は何の役に立つのですか?』と聞かれて、『新生児が何の役に立つのだろうか』と答えたそうじゃ。」
秋山「それは、すごい受け答えですね。その真意は何なんですか?」
師匠「つまり、物理というのは、生まれたての赤ん坊のようだ、ということじゃ。」
秋山「赤ん坊と物理、ですか。。。」
師匠「生まれたばかりの赤ん坊は何もできないし、ある一定の時間がたつまで、親や周りが手をかけなければならない。つまり育て上げるまでいろいろありながら、自立していく過程を踏む。しかしながら、社会としても赤ん坊を必要としているし、それ以上に、親が無条件で授かりたいと思い、無条件に愛情を注げるものでもある。」
秋山「それはわかるのですが、物理とどう関係してるのですか?あ!確かに、発見されたばかりの物理的事実は、何の役に立つかわからないし、理論などに組み込まれるまでも時間がかかりますよね。つまり、多くの科学者によって育て上げられるもの。社会や国家も基礎科学(物理)を必要としていますし、それを生み育てるための投資もする。何よりも、人類が自然のメカニズムを求めること自体、学問への献身的愛情とも見て取れますね。」
師匠「そうじゃ。物理が役に立つか経たないか、というよりも、物理という学問は、親や社会が考える赤ん坊そのものだ、という深い意味があるのじゃよ。」
秋山「なるほど、そういうふうに見ると、物理という学問の意味が感覚的によくわかりますね。」

大人のための家庭教師

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