数学や物理を勉強するのに電卓を使っていいのでしょうか。良く昔、子供のころ、親や先生から「電卓で計算してはいけません」と言われていなかったでしょうか?
ではなぜなのでしょうか?主な理由としては「脳が楽をすることを覚えてしまっては、計算力が養われないから」なのでしょう。
しかしながら、当の本人は実感できないのも事実です。そこで、私が教える立場から、初学者が電卓を使って数学を学ぶべきではない事例をご紹介します。
以前、ある大人の方に数学(中学・高校レベル)を教え始めました。最初は、電卓を使っていたのですが、なんとなく、何を計算しているのかわかっていらっしゃらないようでした。
そこで、急遽、電卓の使用を禁止して、手で計算をさせるようにしました。確かに、面倒なのですが、そこから、数字を扱う感覚が養われてきた感じがして、答えが合っているか間違っているかの判断もできてきたようでした。
手で計算するだけが原因ではないと思いますが、明らかに、脳のいろいろな部位を使っているように見えました。
実際、教える際も、どのように計算しているか、また、どのように検算するかを意識させるには、手計算の方が効果的な気がします。
一方で、アメリカは、高校生くらいから電卓を使わせているようです。もちろん、それはそれでよいのですが、計算慣れしていない人は、電卓が何を計算しているかわからずにたたいているので、答えと違う結果が出ると混乱しがちです。
また、初歩的な電卓の知識もなければ、修正できないのも問題です。例えば、掛け算と割り算が、足し算や引き算よりも先に計算されたりなどわからなければ、何度やっても答えは違ったものになります。
やはり、私が子供の頃に受けてきた指示は正しいというのは、教えることを通じて基本的に正しかったと言えます。
まとめとして、まず、基本的な計算の原理を手と紙で体で習得しましょう。これは、大人であっても、初学者であれば、絶対にそこから始めるべきです。
そのあと、電卓を使うにあたっては、電卓の使い方の手ほどきを受けましょう。電卓にしても数学ソフトを使うにしても、それらは、無条件に正しい答えを出すわけではありません。あなたが打った入力に対して実直に答えを返しているだけなのです。
どんなに便利な世の中でも、最終的には人間が確認できることを担保していないといけないようですね。