特に日本国内では、教育は高校までの学習に重きを置いていますが、残念ながら「大人」としての学び方は一切教えていません。
社会的責任を持つ大人として、物事の理解の仕方や、問題の解決の仕方は、とても重要です。しかしながら、大学受験を中心とした勉強だけを強調すると、その大事な「大人」の学習力が身に着きません。
高校までは、いわゆる、お子様学習であって、そのためにカリキュラムを整えて、問題なども解きやすくアレンジされているのです。
そこから、大学に入って「大人」としてOpen-ended(いわゆる決まった解答がない)問題にあらゆる視点からアプローチしていく力を養っていくのです。
「それでも、数学・物理やその他の科学、技術であれば、答えは決まっているんじゃないの?」という人もいるでしょう。もちろん、過去の問題には答えがありますが、現在、目の当たりにしているものは、条件が違ったり、やり方が変わったりなど、多くの局面から今までにない答えを求めていかないといけないのです。
まさに、大人の課題は、自分で理解し、自分で解答を作り、自分で確かめないといけないのです。上から与えられた答えが決まっている「大学受験」までの子供の課題ではないのです。
大学で扱う教科書は、今ある学問の体系全体を見通しているため、ここまで学べばよい、というような境目がありません。
簡単か難しいか、というよりも、一番基礎的な原則から出発して、そこからどんどんと広がって行っているものを扱っています。
そこで、大人の学習の仕方、大人の理解の仕方が重要になります。まずは、何が基本で、何が一番重要な枠組みかを把握します。今わからないことは、ぼんやりと頭にとどめて、他の文献や議論などによってゆっくりと外堀を埋めていくように理解していきます。
高校までだと、ひとつひとつ理解して進んでいきましたが、大学レベルでは、内容が抽象的なものや高度に複雑なものも混在しているので、「理解できないと先に進まない」という態度では、ひじょうに学習効率が悪くなります。
大人として始める学習は、子供の学び方からの卒業から始めてみてはどうでしょうか?