「ハフトゥー」ではなく「ハフタ」、英語の発音、なんでそうなるの?

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かつてテレビのコマーシャルで、Have to は、「ハフトゥー」と発音するのではなく、「ハフタ」、にすると教えていますね。

これは、中学生用に発音や聞き取りの、いわゆる「コツ」を教えている感じですが、大人的には、どうしてなのと聞きたくならないでしょうか?

そもそも、to は、トゥーと発音すると教えられたのに、「タ」、って、どうゆうこと?

わかりました。大人向けに説明しましょう。基本は、「トゥー」でも、「タ」でもありません。ただ、実際の発音からすると、短く、「タ」、と発音するほうが近いということです。

基本は、子音の発音が英語では重要になってくるということです。to は、日本語でトゥーというように、「ゥ」、に力を入れるのではなく、「トゥ」、というように短く破裂させるように発音します。

日本語は、必ず母音によって発音が閉じるので、英語のように、子音だけの発音はしません。日本人にとっては、聞き取るのが苦手、というか、そもそも頭の中に無いので、舌、顔の筋肉や耳が反応できないのです。

他にも、英会話学校などのCMで、「あなたの英語は、きれいな英語ではない」と言われているのも、基本は、きちんと子音や、英語独自の発音、(例えばth など)、ができていないのが理由です。

英語は日本語よりも発音のバリエーションが多いので、本来は、英語の発音をカタカナで説明するのは、発音の教育上あまりよろしくない、ということでしょう。

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アインシュタインの相対論は、絶対的なものを排除してしまったのか?!

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アインシュタインの相対性理論を勘違いしているような、記事を見かけることがあります。少し大人げないかもしれませんが、誤解されたくないので、正しいことをお伝えしたいと思います。

相対性理論というのは、アインシュタインの前にもありました。(厳密には相対性原理といいますが)それは、止まっている人が観測しても、動いている人が観測しても、ある物体の運動の実験値は同じであるとすることに基づいています。これを相対運動と言います。

つまり、物理的結果が客観的であるために、両者の観測の仕方は、相対的に差し引きしないといけない、ということです。これを「ガリレイ変換」といいます。

では、アインシュタインは、何か新しいことをしたのでしょうか?実は、このガリレイ変換は、物体の運動には適用できるのですが、電気に関する運動では、使えないのです。

さらに、ガリレイ変換は、光の速さに近づいていくと、物体の運動にも適用できなくなります。

そこで、多くの物理学者や数学者が、この謎を解明すべく、いろいろな案を出していきました。ここで、ローレンツ変換というのが、有効だとわかったのですが、物理学的な解釈が分かりませんでした。

ここでアインシュタインが「時間が遅れる」という概念を付与して、ある意味、普遍的な相対性理論を完成させました。

ここまでは、特殊相対論と言われます。つまり、等速運動における、相対運動の一般理論です。

もちろん、ここでの相対性というのは、絶対的な何かと比べているわけではありませんよね。

その後、一般相対性理論を論じる時に、相対性というものが、「取り換え可能な物理量」というように拡張されます。つまり、「区別ができない」という意味で相対的としました。

そして、アインシュタインは、加速度というものと、重力という物を「相対的」に扱うことによって、相対論そのものを加速度運動まで一般化しました。

もちろん、相対論の哲学的背景に比較対象として絶対性を加味することもできますが、科学的な用語としては一切出てきません。

物理学における、相対性理論は、「絶対的理論」と対比されるというのは、ないということでした。

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「われ思うゆえに我あり」、デカルトが貢献した物理とは?

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デカルトと言えば、「方法序説」で有名な哲学者というイメージですが、数学にも造詣が深く、初期の物理学にも貢献した人です。

もともと、彼は、「複雑なものを基本的なものに基づいて記述すべき」という考え方を持っていたので、「科学的考え方」を提唱した一人であったのは間違いありません。

ところで、物理学への貢献ですが、彼は「座標」というものを発明しました。いわゆる、基本的なx、y、z軸で表すものです。

この座標の名称を「カルテシアン座標」と言いますが、デカルトから由来しています。

もう一つは、「運動量の保存則」です。これは、衝突前の総運動量と衝突後の総運動量が同じになるという、自然の法則です。ちなみに運動量は、物体の質量かける速度です。

有名な例は、下の絵にあるオブジェです。これは、一個のボールを持ち上げて離して隣のボールに当たると反対側のボール、一個が飛び出るものです。

運動量が保存するので、二個当てれば、二個飛び出ます。

今でも重要な法則大人の家庭教師や座標システムが、哲学で有名な人によって生み出されていたのも面白いですね。

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W. パウリという物理学者が残したもの

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ヴォルフガング・パウリというドイツ出身の物理学者がいました。1945年にノーベル賞を受賞したのですが、生涯にわたって、物理の理論に多くの貢献をしたことでも有名です。

まぁ、歯に衣着せぬ文言や批判も多い人でもありました。また、「パウリ効果」と言って、彼が生粋の理論家ということで実験室に近づくと、実験器具におかしなことが起こるという半分冗談なことも言われた人でした。

実は、僕の大学院のアドバイザーのアドバイザーのアドバイザーがパウリだったそうです。もちろん、僕自身には関係ないですが、教科書の人と意外なところで身近に感じた瞬間でもありました。

彼が、発見した法則がありました。専門用語で「排他律」というのですが、ある種の粒子、例えば電子や陽子などです。これらは、エネルギーが同じであれば、いっしょにいられない、という発見です。

これに関しても、「だから何」とお思いでしょう。理論的に重要な発見でもありますが、この事実から言えるのは、これのおかげで、机や椅子など形を保っていられる、ということです。

言い換えれば、排他律に従う粒子は物質を作っている、ということです。では、排他律に従わない粒子は何でしょうか。

代表的なものは光です。光は光子という粒子の集まりですが、一つのエネルギー状態にいくつも光子が存在することができます。実際、光そのもので物質を構成しているのは見たことがないですよね。

もう一つ紹介したいのは、ニュートリノに関しての貢献です。恐らく、2017年現在でニュートリノという言葉を知らない人は、少ないかもしれませんが、ニュートリノとは何なのか、知っている人は少ないでしょう。

そもそも、この粒子の発見にパウリがかかわっていました。

簡単に説明すると、昔、ある物理学者が、放射能が出る実験的なプロセスを見てみると、エネルギーが保存しないのでは、と提唱し始めました。

しかし、パウリは、そんなことはないだろうということで、ニュートリノという粒子がその反応にはかかわっていると、予言しました。

その後、その粒子が発見され、エネルギーも保存されるということで、めでたし、めでたし、となったということです。

物理だけではないですが、物理学も、長い年月をかけて、いろいろな人の貢献の上に成り立っているということですね。

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微積分では、一次元の線が小さな一次元の集まりだという事実

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子供の頃、空間の次元について習ったとき、暗黙の了解というか、先生が分かりやすく教えるためなのか、「1次元の線分は、無次元の点の集まりで、2次元の平面は、1次元の線の集まりで、3次元の立体は、2次元平面の集まりである」、と認識させられていました。

概念的にはわかりやすいですが、そこから実用的な方法論というのが導きづらいという点もあります。

簡単に言うと、「だから何?」というものです。

そこで、微積分の創始者たちは、1次元の線分はひじょうに小さな線分のつながりと見ました。

また、平面は、小さな平面の集まり、立体は、小さな立体の集まりとしました。

そうすることによって、面積や体積などを計算する道具になり、様々な分野で発展することができました。

では、最初の概念は全く無駄だったのでしょうか。後付けの議論ではあるのですが、この概念は、フラクタル次元の考えに通じます。

フラクタルというのは、簡単に言うと、あるルールによって、線や面が入り組んでいく図形のことを言います。

そこで、「あるフラクタル曲線がどれだけ平面を埋め尽くすことができるのか」という見方をすれば、1次元と、2次元を結び付けることができます。

もう少し丁寧に説明すると、複雑に入り込んだ線分は、入り込めば入り込むほど、紙の上を黒く埋め尽くすということです。

そこで、フラクタル次元というものが登場します。つまり、これは、ある曲線がどれだけ紙を黒くするかという指標になります。

そうすると、1次元と2次元の間という概念ができるので、フラクタル次元には、1.5次元などのように、小数が含んでくるのです。

フラクタル次元の詳しい説明は、次回に行います。

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こんな簡単な方程式でも解が得られない、という驚愕の事実

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中学や高校で習う代数は覚えているでしょうか。x+1 = 7 という方程式を x について解きなさい、というやつですね。

左辺の1を右辺に移項して、x = 7-1。したがって、x = 6 となります。

これは簡単ですね。分数が入ったりするバージョンもありますが、基本は同じです。

では少し、すすめて、こんなのはどうでしょうか、x^3 = A + B? A とB はそれぞれ、ある定数です。

これは、右辺の立方根をとることになるので、x = \sqrt[3]{A+B} がxについての解です。

ここまでくると、高校のレベルを超えていることになるでしょうか。次も「大人」レベルですが、\sin x = A はどうでしょうか?

つまり、サインという関数の中にxが入ってしまっている状態ですね。これだと、割ったり引いたりでは、xが出てきません。

そこで、「逆関数」を演算するという方法を取ります。逆関数は関数の逆、つまり、逆関数 \times 関数=1という定義です。まぁ、数と逆数の関係のような感じです。

サインの逆関数はアークサインと言います。\arcsin x などと書きます。教科書によっては、\sin^{-1}x とも表現しています。

そうすると、上の問題は、x = \arcsin A が答えです。このように、関数同士の演算方法がわかれば、ほとんどの方程式でxについて解けると思います。

では、これはどうでしょうか?\tan x = x。簡単な式ですよね。さっきの応用のようにタンジェントの逆関数を使ってみましょう。

x = \arctan x になります。さぁ、どうでしょう?あれ、まだxがアークタンジェントの中に入ってますね。

お気づきでしょうが、この場合、代数的にxを表現することはできません。これを「超越方程式」といいます。すべての超越方程式が代数的に解けないわけではないですが、このようになってしまうことが多いのは事実です。

どうやって解くのかと言いますと、「泥臭い」ですが、数値を変えながら、両辺がイコールになるように試行錯誤していきます。

実は、こういう方程式は物理の場でも見かけます。\tan x = x は、量子力学の基本的な問題を解く時に出てきます。

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数学と物理がむすびつく瞬間…

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自分が高校で数学や物理を学んでいた際、それらの「結びつき」だとか、「関連性」、「考え方」などという、背後に関する話が全くと言っていいほど、教えられていなかったように思えます。

今回は、数学と物理がどう結びつくかを、簡単に説明したいと思います。全て説明しようとすると、混乱するので、かいつまんで、「どう結びつくか」だけに焦点を絞りたいと思います。

量子力学というのを聞いたことがあると思います。電子などの小さなものの運動を表現する物理の理論です。

この現象が発見され始めた時は、今までの物理と違う結果が多くて、物理学者は混乱していました。

当然、今までの理論は使えないということで、実際の実験結果をもとに、どうやって、そのルールを見出して、定式化するかに尽力しました。

そこで、わかったのが、ある物理量を求める実験をAとします。関連した他の物理量の実験をBとします。Aを求めた後、Bを求める場合と、Bを求めた後、Aを求めた場合の結果が違うことが分かりました。

一般的な力学、つまり、ニュートン等が提唱した方法論では、AとBを逆にしても同じ実験結果が得られるはずです。

ここで、高校までの数学を思い出してほしいのですが、普通の代数では、A掛けるBは、B掛けるAと同じ答えです。つまり、ニュートン力学です。

しかし、行列を使うと、行列A掛ける行列Bは、行列B掛ける行列Aと必ずしも同じにはなりません。まさに、量子力学です。

そこで、当時のある物理学者は、行列を使って量子力学を表現し、成功しました。

物理には、自然への働きかけと、その反応から、どのような論理(数学)で表現され、その理論によって予測ができるかどうかを吟味する側面もあるということを分かっていただけるとありがたいです。

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(専門家へ:ここでの量子論の説明は、かなり単純化したことをご了承ください)

昔は「電波が空間を伝わる」というのは奇妙だった

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現代人にとっては、年をめされた方でも、物心ついた時から、ラジオがあって、電気が空間を伝わることが当たり前でした。

もちろん、当時の人は、ラジオを見せられて、その中に人が入っていると思ったでしょう。

今では、もっと当たり前になってます。例えば、リモコンでチャンネル変えたりDVDを操作したり。電話も、外で、どこででもかけることができます。

しかし、この電磁波というものは、今から約150年前には、信じられなかったことなのです。

電荷や磁荷が発見され、その性質を、多くの科学者が研究して、定式化してきました。電気そのものの発見は、BC600年くらいでかなり古いのですが、物理学的に定式化し始めたのは、1800年代でした。

電磁気というのは、意外と複雑で、電気、磁気が、かかわりあった力などもあったり、電流が磁気を作ったりします。

それぞれの性質を定式化した人たちは、何人かいて、約9つの法則が電磁気に関する物理の公式となりました。

ここで、マックスウェルという数理物理学者が、上の法則を4つの方程式に集約します。

数学的には「ベクトル解析」というもので理解できますが、この数学は、大学で初めて習う数学です。

詳しい内容は、ここでは言いませんが(もし必要ならば、連絡ください)、マックスウェルは、その方程式が数学的に首尾一貫するには、電磁気が空間を伝わることができると結論付けました。

もちろん、当時の人たちには、信じられなかったと思います。

しばらくして、ヘルツという大学の実験の講師をしていた人が、実験の授業中に次のことに気づきました。

「あるテーブルで、電気の放電が起こると、他のテーブルに伝搬しているようだ」、と。

ここで、ヘルツは、マックスウェルの予言を思い出し、実験的に電磁波が存在することを証明しました。

これが、電磁波の「はじめて物語」です。当時はノーベル賞は、なかったので大々的に評価はされなかったようですが、現代のテクノロジーで最もよく使われているものの一つではないでしょうか。

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工学分野から物理になったものってなぁんだ?

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物理は最も基礎的な科学で、そこから応用されているのが工学(エンジニアリング)と理解されているとおもいます。

もちろん、大部分はそうなのですが、たまに、工学分野で発展し始めた話題を、科学的に見ることによって、新しい物理の分野になった物もあります。

それが、熱力学です。そもそも、エンジニアが蒸気機関車などのエンジンの機関を研究することから始まりました。

もちろん、物理は関係なく、いかに熱を効率的に仕事に変えていくかが問題でした。

その後、科学者が、よくよく考えたら、熱と仕事の理論ってないんじゃないの、ということで、急遽、このエンジンの研究から熱物理が作られました。

熱というものを、エネルギーと仕事と一緒にうまくつなぐことで一つの物理理論ができていきました。

仕事というのは、物理では、力 \times 距離と定義されます。外部の力によって、どれだけの距離を動かしたかが、物理における仕事で、エネルギーと同じ単位を持ちます。

熱力学でも仕事がありますが、圧力 \times 体積という表現になります。(数学が得意な方は、これが力 \times 距離と同じであることは、すぐに証明できるでしょう)

もちろん、エンジンの熱から来る圧力と、どれくらいの体積をピストンが動いたか、ということです。

このような定式化から、もっと基礎的にエンジンの働きなどが見えてきた、というのが熱力学の始まりです。

よく、物理学者とエンジニアは互いに、からかったりしています。(僕はしませんが)物理学者は、物理の方が工学よりも崇高な学問だ、とか。工学は物理よりも人類に直接的に役に立つものを作っている、などなど。

この例でもそうですが、互いに持ちつ持たれつ、なんですけどね。本当は。(笑)

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万有引力は最も古い定式なのに、最も難しい実験なのです。

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ニュートンで有名な万有引力の法則ですが、ひじょうに弱い力であって、関連する数値を実験で求めるのが一番難しいというのは、ご存じでしょうか。

そもそも、この法則は、質量と質量が引き合うというものです。もちろん、人間同士も重力によって引っ張り合うのは理屈上、正しいのですが、あまりに弱すぎるので、ほとんど影響ありません。

いかに弱いか、ですが。。。例えば無重力状態で、200㎏の二人が10メートル離れているとします。

彼らが、彼らの重力だけで引き合うとして、どれくらいの時間でハグできると思いますか?大体、36時間かかります。たったの10メートルを引き合うのに地球の時間で約1日半かかるというくらい、弱い力なのです。

ここで、少し数式を持ち出したいのですが、嫌いな人は、ここは飛ばしてもいいです。

先ほども言いましたが、質量 M と 質量 m の間に力が働くのが引力の法則です。つまり、力は質量に比例します。一方、距離が離れていれば、およぼす力は弱くなります。引力は、距離の2乗に反比例します。

つまり、引力を F として、F = \frac{GMm}{r^2} というように定式化されます。質量に比例して、距離の二乗に反比例です。ところで、G ですが、これは、力のスケールを決める数値で、万有引力定数と言います。

重力はひじょうに弱いことから、その定数も小さいということが予測されます。概算でも小数点以下に10個もゼロが並ぶくらい小さいのです。

ということで、ニュートンが、発見してから、その定数を実験的に求めるのに100年かかりました。キャベンディッシュという人なんですが、彼が、質量と質量が引っ張り合ってできた「ねじれ」を使って、測定に成功しました。

当時の値が G=6.75 \times 10^{-11} \mathrm{m^3 / kg \cdot s^2} で、今から220年ほど前です。

実は、現在の精度でも、6桁くらいしか「確か」でないのは、この定数くらいです。ある意味、大変な実験なのです。。。

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Photo credit: NASA Goddard Photo and Video via VisualHunt / CC BY(写真は月の重力マップです。)